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【特集】

成長M&A

かつてM&Aといえば「乗っ取り」「身売り」など暗いイメージが付きまとったが、いまや多くの企業が持続的成長を図る手段として選択する時代になった。後継者難、本業の競争力低下、早期の新規事業開発など、一筋縄ではいかない経営課題を最短距離で解決したM&A事例をリポートする。
コラム2019.12.27

成長戦略を実現するためのM&A
丹尾 渉


2020年1月号

 

評価の高いM&Aとは?

 

1.M&Aのトレンド

 

日本のM&A市場は、2018年からの流れを継続し、2019年に入っても件数が増加している。2019年1~9月時点で、前年同期比10.4%増の3038件であった(レコフデータ調べ)。過去最高水準で推移しており、M&Aが企業にとって事業戦略や経営戦略を実現するための有効な手段として定着しつつあることがうかがえる。大企業が何千億円もかけて買収を実行したというニュースがテレビを駆け巡るが、いまやM&Aは大企業だけの経営技術ではない。中堅・中小企業も実行できる(使いこなさなければならない)手法である。

 

M&Aの評価は、譲渡契約書を締結した時点で決まるものではなく、M&A後の企業の成長で決まる。では、M&Aが「失敗した」と捉えられるのはどのような場合だろうか。失敗の主な要因は、ディール(取引)の各段階に合わせて三つ考えられる。このうち、最も大きなポイントは「戦略的失敗」である。

 

M&A失敗の主な原因

    • 1. 戦略的失敗
    • 2. 買収価格が高い(高値づかみ)
    • 3. 統合作業がうまくいかない

 

そもそも出発点に問題があると、その後ディールが進んでいったとしても取り返すことは難しい。いかに低い価格で買収できたとしても、一度掛け違えたボタンを直すことは容易ではない。

 

「目的は何か?」「その会社は本当に“欲しい”会社か?」

 

この問い掛けから、M&Aがスタートするのである。

 

 

2.ブリヂストンの事例

 

M&A実行時には物議を醸したが、20年近くたって評価を高めた案件が存在する。ブリヂストンだ(【図表1】)。評価を高めた要因は、「揺るぎない戦略」である。

 

ブリヂストンは、事業戦略上、北米進出が避けて通れない状況でM&Aを実施し、ファイアストン社の経営危機についても粘り強く対応した。

 

結果として、業績は日本国内をしのぐようになり、名実ともにグローバルカンパニーに成長した。M&Aの評価は買収当初こそ低かったが、現在では評価を挽回したと言ってもよいのではないだろうか。2度の危機に対して再売却や破産ではなく、立て直しを実施したのは、ブリヂストンの胆力がなせる業であったと言えよう。

 

 

【図表1】ブリヂストンのM&A事例

出典 : ブリヂストンホームページを基にタナベ経営作成

 

 

 

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