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コンサルティング メソッド

タナベコンサルティンググループの各分野のプロフェッショナル・コンサルタントが、経営戦略・事業戦略・組織戦略などの経営メソッドを解説・提言します。
2018.02.28

デジタル革命を機に住宅産業から
「暮らし産業」へ
山本 剛史


2018年3月号
 
変化の激しいデジタル革命時代を生き抜くためのポイントは、次の通りである。
 
デジタル革命時代を生き抜く対策
 
(1)プラットフォームづくり
 
私たちが持っているスマホはアプリのプラットフォームであり、このオープン性が魅力を引き立たせている。誰もがスマホを利用する中で、LINEに代表される通信アプリやカメラアプリなどは、なくてはならないものとなっている。これを、住宅産業に置き換えるとどうか。
 
例えば、家の修繕履歴をデータ化する場合を考えてみよう。従来は「事業者視点」だった。事業者側が工事に必要な情報(図面や仕様書)をストックし、経年劣化のタイミングに合わせて無償・有償のサービスを提供するというスタイルである。仮に、一般消費者が自分のスマホで、手軽に自宅の“家歴”を閲覧・管理できるアプリができればどうなるだろうか(現にそういうサービス運用も始まっている)。事業者側が管理していたデータを、一般消費者が簡単な手元操作で閲覧できるようになる。カフェでコーヒーを片手に、スマホからリフォーム工事を発注することも可能だ。
 
そのアプリ上に、暮らしの情報(美容院の割引、イベント開催情報など)を載せてプラットフォーム化ができれば、日常生活に密着したアプリとなり、主導権が消費者側に移行する。工務店や不動産業者も、暮らし産業との連携が必須となるだろう。
 
新たなプラットフォームサービスの登場により、従来のサービスが一瞬にして淘汰されていくことも肝に銘じておかなければならない。
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(2)暮らし提案
 
住宅産業において、デジタル革命で最も大きな影響を受けるのは、営業の仕事ではないだろうか。今までは、「○○さん(担当者名)だから家の購入を決めた」という理由で売れていた人も多かった。つまり、営業担当者自身が重要な購買決定要素だった。
 
ところが、これからの消費者は以前よりもデータを重視するようになる。ライバル商品と比較し、価格、性能、デザインなど、あらゆる面を数値的に取り出して、客観的判断で購入の意思決定をするのだ。双方のデータを比べれば自動的に優劣がついてしまう。
 
あるいは、ネット上で購入した人の閲覧履歴から、自分のテイスト・価値観に合うものを選び出すこともできる。このプロセスをAIでコントロールできれば、営業担当者とのやりとりは理論上、不要になる。営業担当者に求められるのは、購入後のライフスタイルをどう提案するかという1点に絞られるのではないだろうか。
 
デジタル革命の波は、住宅産業が「暮らし産業」へ変貌するチャンスと捉えるべきなのかもしれない。
 
 
住宅はハード産業から「ソフト産業」へ
 
自動運転の電気自動車が主流になれば、クルマは移動のための家電製品となり、自動車業界が持つエンジン技術は不要になる。クルマにパソコンを載せるのではなく、パソコンにタイヤを付けて走る発想である。
 
同様に、住宅業界でも「AI住宅」なるものが主流になれば、家は住むための家電製品になり、中身(暮らし)はAI(アプリ)でアップデートしていく、という状態になる。生活ステージに合わせ、「不要になった住宅アプリを削除して、新たなアプリを購入する」。そんな時代が来るかもしれない。
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