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コンサルタント レビュー

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2017.10.31

「働き方改革」、いま求められる人事制度の在り方
山本 晃裕

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2017年11月号


 
時間ではなく、より実力と成果が求められる時代へv
 
仕事のできる人に業務が集中し、残業が特定の人に偏る。仕事の進め方が遅い人は、残業しながら、より多くの時間をかけて業務を処理する――。同じ残業といえども両者の違いは大きい。遅くまで残業をしている人が、「頑張っている人」だとは限らない。

 
働き方改革の本質は、生産性の向上にある。より短時間で多くの業務を処理する、または仕事の成果を上げるといった「真の実力」がある人材が評価され、高い処遇に結び付く時代へ変化していく。モチベーションを高く維持し、向上心を持って自己研鑽できる人材と、現状維持に満足し、成長を止めてしまった人材との二極化が、今後ますます広がっていく。

 
そこで大切なのが、一人一人の成長意欲に火をつけられるかどうかである。社員のモチベーションを上げられない会社は、人材難と低収益というマイナス・スパイラルに落ち込んでいくだろう。
 
私は先日、ある経営者とディスカッションをした。その経営者は「夜遅くに美容院の前を通った時、閉店した店内でマネキン相手にカットの練習をしている人がいた。夜遅くまで頑張る姿に強い向上心を感じた。それに引き換え、わが社の社員は向上心がない。資格取得や技術習得に向けた勉強をしない。家に帰っても酒を飲んで寝るだけだ」とこぼしていた。社員が勉強する風土づくりを、半ば諦めているようにも受け取れた。

 
一方、別のある経営者は、「私が入社したころは、勉強とは最も遠い存在の“柄が悪い社員”の集まりだった。しかし10年たった今では、業界内外から視察に訪れてもらえるほど、社員のモチベーションが高く、高収益を出せる会社に変貌した」と語っていた。

 
この2社の差は、どこから生まれたのだろうか。私は、次に挙げる3点に、真摯に取り組み続けたかどうかに違いがあると考える。
 
1点目は、「育てる力」を高めること。原因自分論で考え、全ての原因は経営者自身の責任だと捉え、会社のビジョンを示し、社員の成長を信じて成長への機会を与え続けることだ。2点目は、「育む力」となる会社の仕組みを整えること。社員の成長ステップと、成長段階に応じた処遇(給与)を一致させる仕組みをつくることである。そして3点目は、「育つ力」を引き出すこと。本を読む習慣、資格取得へのチャレンジ、自ら学ぼうとする意欲などを、会社の風土として根付かせる。勉学意欲を持たない社員ばかりの会社に、未来の成長はない。
 
これらに対して愚直に取り組み続けた結果が、社員の成長意欲に火をつけ、会社風土の改革につながったのだ。
 
次に、3つのうち「育む力」と「育つ力」について、ポイントを順に解説したい。

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