今どき新入社員との向き合い方
水本 伸明
2017年11月号
新入社員育成のための4つのステップ
これから新入社員を育てようとする上司は、そもそも一人一人の人間は違うものだということを受け入れること。そして、次の4つのステップを念頭に置いていただきたい。
〈ステップ1〉
今どきの新入社員の価値観を飲み込む
あなたの下に配属された新入社員は、どのような経験を経て、今、目の前に立っているのだろうか。「人は自分が経験したものしか理解できない」。これは上司のあなたにもいえるが、新入社員にもいえる。
経験のバックボーンが異なっていれば、いくらあなたが口を酸っぱくして注意しても、新入社員は表面上「はい」と答えるものの、正直、ピンと来ていないのが実情であろう。
従って指導する前に、彼・彼女が経験してきたバックボーンや考え方をいったん「飲み込む」ことが必要になる。理解しようと思ってもできない場合、無理に理解しようとしなくてもよい。嫌いなもの、分からないものでも、いったん飲み込んでみてほしい。清濁併せ呑む度量も、ときには求められる。
あなたは指導する前に、新入社員自身を分かろうとしているだろうか。一方的に「分かっているつもり」になっていないだろうか。1日5分でも話す時間を取っているだろうか。部下は、上司が自分のことを分かってくれていると感じたときに、その人に付いていくものである。
〈ステップ2〉
伝わる言葉を使う
「人を見て法を説け」という言葉がある。お釈迦さまが仏法を説くときに、相手の性格や気質を考慮して、適切な言い方をした故事が語源だが、上司であるあなたにも同じことがいえる。
「バブル世代」と呼ばれる人たちが使う言葉と、いわゆる「さとり世代」と呼ばれる、今どきの新入社員が使う言葉は違う。それは価値観が違うためで、当たり前のことである。時代に合わせた言葉を選び、使う技術が上司には求められる。
言葉を選ばない一方的な指示は、見方を変えれば上司の自己満足であり、仕事とはいえないだろう。部下を指示通りに動かし、成果を出させて初めて指示が仕事になるのではないだろうか。
伝わらない情報は無価値である。特に新入社員とコミュニケーションを取る場合、主導権はあなたにある。伝えた言葉が、きちんと行動につながっているか。やりっ放しに終わらせないよう、チェックとアドバイスを行うことがポイントになる。