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コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
2017.09.29

農業参入は出口(販路)の設計が鍵
井上 禎也

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2017年10月号


農地法が阻む植物工場の成長
 
農業のIT化がこれからも進むことに異論を唱える人は少ないと思われるが、その進歩にブレーキをかけているものがある。それは農地法である。企業参入を促すために改正されている農地法だが、その実は農業のための法律ではなく、農地のための法律となっているのだ。「農業=土」という前提で定められているため、農作物が生産できる施設であっても、コンクリートで舗装された植物工場である場合は、固定資産税が割安になる農地と認められない。

 
政府は企業参入の後押しのために、舗装していても「農地」として認定し、税負担を軽減することを検討しているが、水道光熱費などを含めたランニングコストに対する補助金などについて課題が残る。自社の遊休地などの経営資源を生かして、アグリビジネスへの参入を検討している企業は、先端技術の動向とともに、その成り行きを見守る必要がある。
 
 
価値をつくり、届ける
 
アグリビジネスを取り巻く環境は大きく変化している。「規制産業」と呼ばれていた面影はあるものの、安倍政権下で「攻めの農林水産業」と掲げているように、その規制も緩和されてきた。また本来は全く含まれていない、もしくはごく微量にしか含まれていない成分を、技術を用いて含有度を高めた機能性野菜や、有機野菜、無農薬野菜などの市場も確立され、消費者が求める価値も変わっている。
 
当たり前のことだが、良いものを作っても必ず売れるとは限らない。せっかく投資を行いアグリビジネスに参入したにもかかわらず、思うように収益が上がらず黒字化できないという声を聞く。特に農作物は生き物であるが故に、先にその出口である販路を設計しないと無駄が生じてしまう。
 
参入初年度から黒字化に成功しているケースを見ると、マーケティングや商品開発の発想を持って取り組んでいるという共通点がある。つまり、価値を届ける相手がはっきりとしていることが大事だ。ぜひとも、どのような価値を、誰に届けるのかを明確にして、環境変化に合わせたビジネスモデルを組み立てていただきたい。
 
 

  • タナベ経営
  • コンサルティング戦略本部 チーフコンサルタント
  • 井上 禎也
  • Tomoya Inoue
  • セールスプロモーション活動支援やノベルティー・販促商品の企画提案などの営業として活躍後、コンサルティング部門に異動。これまでの実務経験を生かした販売促進活動の支援、営業力強化などを中心に、実践的なコンサルティングを展開中。

 

 
 

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