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コンサルティング メソッド

タナベコンサルティンググループの各分野のプロフェッショナル・コンサルタントが、経営戦略・事業戦略・組織戦略などの経営メソッドを解説・提言します。
メソッド2017.08.31

食品小売業から「生活者支援業」へのビジネスモデルシフト
コンサルティング戦略本部

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2017年9月号


「買い物弱者」など社会課題が深刻化

こうしたトレンドは、当然、食品小売業にも大きな影響を及ぼす。自宅近くに食料品店がなく、移動が困難な高齢者が日常の買い物に不便や不満を感じる「買い物弱者」問題だ。農林水産省の調査(2014年)によると、生鮮食料品販売店舗までのアクセスが困難な人の数は2010年の382万人から、2025年には598万人へ56.4%増加すると推計されている。増加の大部分は都市的地域(人口集中地区)のものであり、特に東京圏では2倍になるというから深刻である。

こうした社会構造の変化に対応するため、日本の食品小売業は現在、シニア対応や地域密着のMD(マーチャンダイジング、商品化計画)展開などを進めている。例えば、小容量の総菜や和菓子の販売強化、地場商品の発掘、地域特性や催事に合わせた品ぞろえの強化などである。

このような取り組みはもちろん大切だが、これから訪れるであろう超高齢社会とは、そうした売り場レベルの対応では追いつかないほどの強烈な社会構造の変化である。その中にあってもさらに成長し、顧客から選ばれるためには、食品小売業という「モノ売り」から「地域の生活者支援業」へとビジネスモデルをシフトする視点が必要だと考えられる。

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