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コンサルティング メソッド

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メソッド2017.08.31

食品小売業から「生活者支援業」へのビジネスモデルシフト
コンサルティング戦略本部

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2017年9月号


進む高齢化にどう立ち向かうか

日本の食品小売業が苦しんでいる。経済産業省の商業動態統計調査によると、飲食料品小売業の2016年の販売額は44兆3890億円(前年比2.0%減)となり、2年連続で前年を割り込んだ。連続の前年割れは、3年連続で減少した2004~06年以来である。

日本の消費市場には、今後さらに厳しい環境が待ち受けている。日本の総人口は2008年の1億2808万人をピークに、その後減少へ転じている。内閣府「平成29年版高齢社会白書」によると、2029年には1億2000万人を下回り、2053年には1億人を割り込む(9924万人)と見込まれている※。

また少子高齢化の進展で高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)が高まり、2036年には33.3%と3人に1人が高齢者となる。人口減少と超高齢社会というかつてない社会構造の変化に直面している。(【図表】)

2015年時点で高齢化率が最も高いのは秋田県の33.8%、最も低いのは沖縄県の19.6%となっている。高齢化は今後も加速し、2040 年には秋田県では43.8%、沖縄県でも30.3%に達すると予測されている。

高齢化は地方だけの問題ではなく、首都圏など三大都市圏でも深刻である。千葉県では25.9%(2015 年)から10.6ポイント上昇し36.5%(2040 年)に、神奈川県でも23.9%から35.0%へ11.1ポイント上昇、東京都も22.7%から33.5%と10.8 ポイント上昇するとの予測だ。急速に高齢化が進む都市圏においては今後、高齢者受け入れ施設の不足や介護の担い手不足が深刻化する可能性がある。

さらに、地方においては人口減少と高齢化によって小売り、飲食、娯楽、医療福祉といった生活関連サービスの縮小・撤退や、税収減による行政サービスの低下、地域公共交通の縮小・撤退など生活利便性が低下し、それが地方の人口減少を加速させる悪循環に陥ることが考えられる。

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