2017.07.31
「働き方改革」のための人事処遇制度の考え方
水谷 好伸
2017年8月号
求められる人事処遇制度の再構築
「一億総活躍社会を目指す私たちにとって『働き方改革』は最大のチャレンジ」(2016年9月2日、安倍総理訓示)。政府は今、働き方改革を構造改革の柱と位置付け、企業にこれまで常態化していた長時間労働の是正を迫っている。
経営者には、業務の生産性向上を目指すとともに、賃金と労働条件双方の向上が求められている。そこで、人事処遇制度を再構築し、働き方改革を推進しようと取り組んでいる企業が多い。本稿では、その1つの例として、「複線型人事処遇制度」についてお伝えしたい。
複線型人事処遇制度とは、1つの企業内にさまざまなキャリアコースを有する多元的な人事システムである。高度経済成長期の日本のような、社員→係長→課長→部長→役員という画一的な出世だけを求めず、それぞれの社員の希望や適性によって、例えば、特定のスキルを極める「専門職」や異動のない「地域限定職」などのルートを用意し、それぞれの社員が力を発揮することを目的とする制度だ。