教え方改革、育成システム改革
山内 一成
2017年7月号
「働き方改革」がブームのように取り沙汰されているが、企業の人材育成に携わる者として、「教え方改革」「育成システム改革」も必要ではないかと感じている。優良・先端企業の人材育成の取り組み事例を紹介しながら、企業内における教え方・人材育成改革のヒントを提言したい。
指導計画を作る
中途入社であれ、新卒入社であれ、新入社員に「誰が、何を、どのように指導・育成するか」という計画自体が配属部門にあるのかといわれると、疑問符が付きはしないだろうか。
タナベ経営では新入社員の配属先で、“エルダー”という指導・世話役を決める。社内の業務ルールの指導や当面業務のOJT、学卒者についてはプライベート面のサポートまでを担当する。エルダーは新入社員と年齢の近い社員が担当するケースが多く、上司・部下の関係とは異なるものだ。
私自身がエルダーを担当する際は、「OJT計画書」(【図表】)を作成し、それに基づいて指導するようにしている。この計画書には、今後、その社員に身に付けてほしいスキルなどの「期待水準」、前職経験を踏まえた「現状レベル」や今後の「レベルアップテーマ」を、指導スケジュールとともに示している。
計画書の内容の良しあしもさることながら、新たに同志となったメンバーをどのように導いていくかの計画を、しっかり作るということがポイントだ。それを基に指導することが、教え方改革の第一歩になるのではないだろうか。