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コンサルタント レビュー

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2017.05.31

2020年の教育改革をビジネスチャンスと捉える
中尾 泰彰

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2017年6月号


戦後最大の教育改革
 
文部科学省主導の「高大接続システム改革」の一環で、2020年度に予定されている大学入試制度改革。これにより大学入試は従来の「知識偏重」型から、「思考力」「判断力」「表現力」など、自ら考え・行動することを重視する方向にかじを切ることが確実視されている。共通1次試験導入から約30年ぶりの改革であり、従来のセンター試験に代わって導入される予定の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では記述式要素を増やすなど、記憶力より思考力を問う傾向が強まるとみられている。
 
これに伴い、小学校から高校までの教育も、学びのプロセスを重視して、多面的に評価するシステムに転換していく。従来の詰め込み型学習とは一線を画す、“戦後最大の教育改革”だ。
 
加えて、社会全体の労働人口が減少する中、児童・生徒らは自力で食べていける力、つまり社会で使える力を早期に学習することが以前にも増して求められる。「大学に合格するための教育」から脱却し、「社会で生かせる能力」を逆算で設計、教育する時代が到来するといえる。(【図表1】)

 
一方、技術の面でも教育分野に大きな変化が起きている。「フィンテック(金融+テクノロジー)」や「ヘルステック(ヘルスケア+テクノロジー)」とともに、今後の大きな成長領域として期待されている「エドテック(教育+テクノロジー)」である。近年ではアマゾンも教育分野に参入した。1人の教師が黒板と教科書を使って複数名に教えるという教育界の常識を、テクノロジーが大きく進化させつつある。

 
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「英語を話せるのが当たり前」というビジネスチャンスを先取る
 
1つの例として、今後導入が予定されている「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の英語科では、現行の「読む」「聞く」2技能の試験に加え、「話す」「書く」を加えた4技能の試験に移行するとみられている。つまり、教育産業にとっては「話す」「書く」能力を磨くためのマーケットが拡大することを意味している。
 
オンライン英会話レッスンを提供するレアジョブは、「日本人1000万人を英語が話せるようにする。」をミッションとして、2007年に設立。ノンネイティブ・スピーカーとして世界1位の英語力を誇るフィリピン人講師と、日本の英語学習者を無料通話サービス「スカイプ」で結ぶビジネスモデルで、業界ナンバーワンのポジションを確立している(【図表2】)。2014年には、東京証券取引所マザーズ上場を果たした。

 
同社は、学校現場におけるスピーキング能力強化の流れを受け、学校向けサービスもスタート。生徒らが同時間帯に一斉にレッスンを受けられる「一斉導入」タイプと、生徒が個々に受講時間を選ぶことができる「個別利用」タイプの2 種類を提供している。
 
「英語を話せるようになる」というニーズを、うまくビジネスと結び付けた事例といえる。
 
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