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【コラム】

コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
コラム2020.05.29

ビジネスモデル別、業績改善のポイント
大金 雄一郎

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2020年6月号


 

 

固定費型・変動費型それぞれの業績改善具体策

 

ビジネスモデル別に業績改善のポイントを整理していこう。

 

タナベ経営は、売上高から変動費を引いた利益(限界利益)を、企業の「新たに生み出した付加価値」と定義している。

 

固定費型ビジネスでは、利益の源泉となる自社の設備、人に関わる費用などの固定費と、付加価値である限界利益との割合、つまり「固定費当たりの限界利益向上」が重要な管理指標となる。

 

私がコンサルティングをした従業員数10名の小規模建設会社は、優秀な職人を数名抱えているものの、十分な売り上げを上げられず赤字決算が続いていた。同社の受注内容を確認すると難易度が低く単価の安い案件ばかりで、職人の技術力を生かしきれていなかった。また、職人のスケジュールが管理されておらず、遠方から遠方へと担当現場を移動するといった効率の悪いスケジュールが組まれていた。

 

そこで、「限界利益(≒粗利益)/労務費(残業代など含む)」を重点管理指標に設定。この指標の数値を高めるため、徹底した案件管理と現場スケジュール管理を中心に工程を見直したところ、黒字化を実現できた。

 

変動費型ビジネスでは、売り上げの変動に応じて変動費をコントロールできる調整機能が重要な要素となる。固定費型ビジネスとは違い、「他社(パートナー)の力を借りること」を主な利益の源泉としている。他社とのパワーバランスにおいて、どれだけ主導権を握れているかが重要な管理項目となる。

 

あるアパレル小物の企画・卸売会社では、社員が「多くの新商品を企画すること」に主眼を置いていた。企画した商品が当たれば売り上げが伸び、その分で他の商品の売り上げをカバーするのが常だった。しかし、ある年から急激に売り上げが減少。それを補填しようと新商品を企画するも鳴かず飛ばずの状態が続き、みるみるうちに在庫が増えていった。

 

そこで、企画した全ての商品の「売り上げ/在庫(簡易的な在庫回転率)」を重要管理指標に設定。企画の当たり外れだけではなく、原価を上げないための協力工場との調整や、販売店に対して売り切るための企画提案を行うなど、商品の企画・製造・販売をトータルでマネジメントさせる仕組みへと転換し、業績を回復することができた。

 

経営環境の急変で、すぐにとどめを刺されてしまう経営状態は健全と言えない。まずは現状のビジネスモデルを見つめ直し、新たなやり方へと改善して、近く訪れる新ビジネス創出時代に備えていただきたい。

 

 

 

  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部
  • チーフコンサルタント
  • 大金 雄一郎
  • Yuichiro Ohgane
  • タナベ経営の経営管理本部財務部にて、管理会計から内部統制まで幅広く経理・財務関連の業務に従事。現在はその経験を生かし、クライアント企業の管理会計システム導入や資金繰り改善などを手掛ける財務戦略のエキスパートとして活躍中。
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