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【コラム】

コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
コラム2020.05.29

ビジネスモデル別、業績改善のポイント
大金 雄一郎

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2020年6月号


 

 

【図表】業種別から見る各ビジネスモデルの特徴

※売掛金が入金される期日までの期間(商品の販売・納品から決済までの期間)

 

 

急変した経営環境

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界が混乱している。感染拡大防止策として各国・地域が「ロックダウン(都市封鎖)」された中、日本では政府が2020年4月7日に「緊急事態宣言」を出し、国民へ外出自粛を強く呼び掛けるとともに、人が密集する施設への休業要請を行っている(4月28日現在)。

 

感染拡大と医療崩壊を防ぐために営業を停止せざるを得ず、売り上げの大幅減少などリーマン・ショック以上の落ち込みを見せる業界もある。特にサービス・小売業などBtoC(消費者向け)業界のダメージが顕著だ。

 

企業倒産が増加する中、雇用においても新卒・中途採用の抑制や派遣社員の雇い止めなどが行われている。この影響がさらに波及し、企業体力のある大企業の倒産も発生し始めると、景況感はますます悪化する。

 

その半面、今後はビジネスモデルの革新が急速に進むだろう。通勤・通学などの移動を減らすため、テレワーク(在宅勤務)やインターネットでの講義などが導入されたことに伴い、既存事業のオンライン化が進む。よりレベルの高い生産性が求められる中で、今回のパンデミック(感染症の世界的大流行)を教訓にした新しい事業がスピーディーに創出されることは、想像に難くない。

 

このように、誰もが想像しなかった要因で急変し、将来の予測も極めて難しい経営の環境下において、経営者には自社のかじ取りが求められている。

 

 

現状のビジネスモデルを再認識する

 

まずは、自社の現状のビジネスモデルを十分に理解せねばならない。特に、当面の業績悪化に備え、自社の収益構造の特徴を押さえる必要がある。売り上げ減少に対抗する策を検討しなければならないからだ。

 

ビジネスモデルは収益構造によって「固定費型」と「変動費型」に分類できる。

 

感染拡大の影響を直接受け、経営危機に陥っている企業が多い宿泊業は「固定費型ビジネス」である。宿泊施設に関する費用(建物・設備の減価償却費、保守修繕費など)や人件費といった、「毎月の売り上げの増減に影響されない費用(固定費)」が主な利益を生み出す源泉だからだ。

 

他方、自社工場を持たないアパレルや小売業は「変動費型ビジネス」である。仕入れが費用の大半を占めており、「売り上げに応じて増減する費用(変動費)」が主な利益を生み出している。

 

宿泊業と小売業の共通点として、“BtoCの日銭商売”であることが挙げられる。毎日現金が入ってくるため、資金繰りを楽観視しやすい。売り上げが見通し通りであれば、日々に入る資金で投資を早期に回収できるため、先行投資を行うことも多い。

 

固定費型ビジネスと変動費型ビジネスの特徴を整理すると【図表】の通りになる。一般的に、固定費型ビジネスはハイリスク・ハイリターン、変動費型ビジネスはローリスク・ローリターンといわれる。

 

固定費型ビジネスはランニングコストが高いので、固定費を賄うために十分な売り上げが必要となる。固定費を上回る売り上げを確保できれば、上回った分がほぼ利益となる。しかし、急激な経営環境の変化で不況になった場合、一気に赤字になる。好況に強く、不況に弱いのが特徴だ。

 

変動費型ビジネスは、売り上げの増減に伴い費用が変動する。故に、売り上げの減少に応じて適切に費用(仕入れ)を抑えれば、赤字転落を防げる。好況に弱く、不況に強いビジネスモデルである。

 

 

 

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