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【コラム】

コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
コラム2020.05.29

「働き方改革」を実現する人材育成
石橋 達也

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2020年6月号


 

 

人材が成長しやすい企業環境づくり

 

次のポイントは、社員自身が成長しようとする意欲、モチベーションである。モチベーションは本人の気持ち次第ではあるが、それを待っていては育成できない。「社員にやる気がない」と言う前に、社内のモチベーションを上げる環境をつくることが重要だ。

 

モチベーションを上げるためには、次の三つの要素が必要である。

 

(1)コミットメント
まずは、「何のために働くのか」を定義付けることが重要だ。自社で働く「意味」とも言う。自社がどこを目指していくのか、社会的使命は何か。経営理念やミッションを明確にし、目標に向かわせる必要がある。

 

その上で、組織の意思決定に意見・提案ができる仕組みと目標を設定する。働く意味と向かうべき方向が明確になり、それがモチベーションへと変わっていく。

 

(2)刺激
危機感や高揚感といったものだ。切磋琢磨し合えるライバルづくりがファーストステップと言える。ライバルをつくることで正しい危機感を高め、行動へのドライブをかける。

 

また、組織で生きていく上で重要な「存在価値」を高めることも忘れてはならない。「組織に必要とされる」状態を感じることで、高揚感や貢献の実感を持てる。

 

ある企業は毎年、全社員を集めて表彰式を行っている。社員の中からMVPを決め、顧客や家族の感謝の声を届ける場面をつくっているのだ。心に刺激を与えることでモチベーションを高めることができる。

 

(3)成功イメージ
自身が成長している実感を得て、「もっとステップアップしたい」と思う成長願望をモチベーションに変える方法である。業務での小さな成功体験を積み重ね、それを評価として「見える化」することで少しずつ目標に近づいていることを実感できる。

 

 

継続が何よりも重要

 

最後のポイントは指導方法だ。企業における指導方法の主体は、職場で実務をさせることで成長を促すOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング:職場内研修)である。Off-JTも必要だが、OJTでの指導が中心になることは間違いない。

 

仕事を教えていくためのポイントは、知識の場合、①学ぶ気持ちにさせる、②知らないことを探求させる、③説明する、④確認させるという順番。技能の場合は、①習う準備をさせる、②作業の説明、③実際に作業をさせる、④完成したものをフィードバックするという順番が望ましい。

 

時間はかかってしまうが、インプットからアウトプットの流れで一つ一つ教えることが重要である。

 

育成計画を立て、モチベーションを上げる環境をつくり指導する。そして、それを継続することが人材育成の基本だ。「人が育たない」「モチベーションが上がらない」と嘆く前に、まずは成長できる環境を整えること。そして、それを地道に継続することが人材育成の近道となる。

 

人材育成を継続することは難しいが、手を止めれば働き方改革も生産性向上も遅れていく。働き方が急に変わってしまっても、一人一人が働く意味を持ち、モチベーションを維持できる環境にあれば人は育つ。その環境をつくり続けることが、これからの企業に求められている。

 

 

※通常業務から一時的に離れ、集合研修などを通して人材を育成する手法

 

 

 

  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部
  • 部長 チーフコンサルタント
  • 石橋 達也
  • Tatsuya Ishibashi
  • 戦略・人事コンサルタントとして、事業・経営戦略の構築、人を生かし育てる人事制度、社員教育の実績を中心に各企業の業務改善に取り組む。また、ミッション・ビジョン経営研究会サブリーダーとして、各社の理念・ミッション経営の推進やビジョン構築を行っている。
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