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【コラム】

コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
コラム2020.05.29

「働き方改革」を実現する人材育成
石橋 達也

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2020年6月号


 

 

 

 

時間をかけ社員の成長を促す

 

コロナショックの衝撃は大きく、影響を受けていない企業はないだろう。従来の業務体制やビジネスモデルで対応できない企業が多く、働く社員もさまざまなストレスを抱えながら業務を行っている。

 

こうした状況で経営を継続するに当たって、企業には正しい判断基準を持つことが求められている。東日本大震災時の経験を踏まえ、事業を止めない手だてを考えつつ、第一に顧客と社員、その家族の安全を考え、次に業績対策とすべきだろう。二次的な影響を考えると経済を止めたくはないが、それを回すのは「人」だということを前提に置くべきである。

 

いま、各社とも従来の働き方を変え、テレワーク(在宅勤務)の導入、会議の縮小(ビデオ会議への移行)、シフトワーク(時差出勤)などに取り組んでいる。今回のパンデミック(感染症の世界的大流行)より前から、長時間労働の慢性化、人口減少に伴う働き手不足、生産性向上などが課題となっていた日本において、現状をチャンスに変えるには、従来の仕事を見直し、「働き方改革」を進めていくことが重要だ。

 

働き方改革とは、柔軟な働き方をすることによって、限られた資源で成果を生み出すための取り組みである。実現に向けて企業が実施すべきことは、タナベ経営が主催した2018年度経営戦略セミナーの「生産性カイカク戦略」でも提言した「ビジネスモデル革新」「戦略投資」「人材育成」の3点である。

 

現在の経営環境下において、ビジネスモデルを大きく革新することは難しく、価値提供の仕方を変えていく他ない。戦略投資については、成長事業への投資判断は難しいが、コロナショックをきっかけに内部的投資判断が進み、仕事の進め方を変えるための投資は進むだろう。

 

問題となるのは「人材育成」だ。人材育成は一朝一夕で何とかなるものではない。時間をかけて成長を後押しする必要がある。生産性を上げていくために避けて通れないのが人の成長であり、その成長が企業競争力の源泉ともなる。働き方が変わっても成果を上げ続ける生産性の高い組織になるためには、個の力を伸ばす人材育成を止めてはならない。

 

 

自社の戦略を推進する人材を育成

 

では、どのように人材を育成すればよいのか?まずは、自社の「育成制度」が整備されているかを確認いただきたい。

 

育成制度は人事制度の一翼を担う重要なシステムである。しかし、人事制度を評価と賃金を決めるシステムと捉え、育成制度とは関係がないと考えている企業が多い。効果的な育成制度を作成・実行するためには、「社員がどのように育ってほしいか」を理念やビジョンから定義付け、「自社の戦略を推進していく人材」として育成することがポイントである。育成計画を立てるために、次の三つの視点を持っていただきたい。

 

(1)原点から見る人材像
経営理念・ビジョンなど自社の原点と言える部分から、どのような人材が求められているかを見つめ、社員に不足しているものを見つける。

 

(2)現状から見る人材像
現状の評価制度から社員の弱点を分析し、課題を抽出する。

 

(3)未来から見る人材像
自社が進むべき道、つまりこれから取るべき戦略を実行・推進していくためにどのような人材が必要かを見いだし、そのギャップを明らかにする。

 

この視点で求める人材像を定義し、その人材像をベースに鍛え上げる重点課題を明確にして育成方針をつくる。そして、この方針に合わせて育成方法とスケジュールを策定していく。ポイントは、「誰」を対象とし、「いつ」「どのように」育成を行うのかという観点で策定することだ。

 

 

 

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