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コラム2020.03.31

ガバナンス再構築で企業価値を高める
小林 宏輝

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2020年4月号


 

 

【図表】コーポレートガバナンス・コード原案

出典:日本取引所グループ東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード(2018年6月版)」より筆者作成

 

 

企業の「社会性」が問われる時代

 

近年、国内企業でSDGs(国連サミットで合意された2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標)への関心が高まっている。SDGsピンバッジを胸に付けたり、コーポレートサイトで自社が取り組んでいる目標を宣言するなど、動きが加速している。企業経営に収益性だけでなく「社会性」が、より強く求められるようになってきたのである。

 

加えて、企業の持続的成長のためにはESGへの取り組みが重要ともいわれている。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った名称で、簡単に言えば企業を見るための物差しの一つであり、「企業の持続的な成長の土台となり得るもの」と考えられている。

 

現在、「ESG投資」という言葉に見られる通り、収益性などの財務指標が良いことに加え、社会性を高めることを目指す企業に資金が集まっている。社会性の軽視は今後、経営のアキレス腱となりかねない。

 

これは大企業だけに当てはまる話ではない。むしろ中堅・中小企業は、他社に先行してESGの観点から経営に取り組むことが、自社の価値を高めるチャンスになるだろう。

 

本稿ではESGのうち、特にG(ガバナンス)について記述する。

 

 

攻守の両面でガバナンスを考える

 

ガバナンス(企業統治)について中堅・中小企業の経営者に話を伺うと、「コンプライアンス研修を実施している」「健康相談窓口を開設した」など、部分的には取り組んでいるものの、経営戦略の一環として位置付けている企業は多くない。また、「ガバナンス体制を整える」「ガバナンスを強化する」という使い方をされるケースが多く、法令順守や不正防止といったネガティブな認識で捉えている人も多いのではないだろうか。

 

事実、東京商工リサーチの「2019年全上場企業『不適切な会計・経理の開示企業』調査」(2020年1月)によると、2019年1月から12月にかけ、「不適切な会計・経理」を開示した上場企業は70社に上っている。集計を開始した2008年以降、最も多かった2016年の57社を上回り、過去最多を更新したという。確かに、大手自動車メーカーの不正会計、大手金融機関の不適切販売など、最近は枚挙にいとまがない。

 

しかし、ガバナンスを正しく再構築することができれば、こうした不正を未然に防ぐことができる。発生時の適切な対応に備える「守り」の側面だけでなく、経営陣の「透明・公正」かつ「迅速・果断な意思決定」により、企業の持続的成長・中長期的な企業価値の向上を図るという「攻め」の側面も持ち合わせることが可能になるのだ。

 

 

 

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