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【コラム】

コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
コラム2019.12.16

資源の投下と顧客の行動が直結しているか
浅井 尊行

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2019年12月号


広告宣伝・販促投資のポイント

店舗型ビジネスでは、広告宣伝と販売促進(以降、広宣・販促)への資源投下が欠かせない。とはいえ、紙媒体やウェブ、SNSなどメディアは多岐にわたるため、売上高および営業利益に占める年間支出コスト比率は他業種に比べ際立って高くなる。

私がコンサルティングの現場で感じるのは、広宣・販促の金額や対売上高・営業利益比率に対する考え方が、非常に主観的な経営者が多いということだ。「多い、少ない」「意味がある、意味がない」「広宣・販促にお金を使わないから〇〇できない」などのタラレバ話まで、反応はバラエティーに富んでいる。

こうした反応を見るたびに、客観的な基準を定める重要性を痛感する。業種・業態により基準は異なるが、自社の広宣・販促費が“ 成り行き投下” になっていないかを検証いただきたい。

(1) 資源の投下基準は何か

店舗型ビジネスでの広宣・販促には、「やめることが怖くてやめられない」という本音と実態がある。これは顧客と向き合う現場の最前線(店長・支店長・所長など)だけではない。役員クラスであっても、情緒的な理由で例年通りの資源投下を決定することが多い。

以前、私もフードサービス業に身を置いていたので、広宣・販促費の予算を削減したり、やめたりすることへの恐怖感は理解できる。しかし、費用の垂れ流しを防ぐためにも、判断軸を確立しなければならない。

(2) 営業利益へリターンさせる

「広宣・販促に連動して来店があったか、なかったか」で費用対効果を測っている企業が多い。しかし、来店客数のみを判断軸にすると、「何人来たのか」だけが注目され、店舗の実態(何人買ったのか、何がよく売れたのか、利益はいくらだったのかなど)が置き去りにされてしまう。

広宣・販促費は、本業利益である「営業利益」にリターンさせたい。営業利益はオペレーションとの因果関係が明白だ。来店客数や買い上げ客数(利用客数)を最重要指標にすると、肝心な部分を見失う。

設計コンセプトをとがらせ、店舗・施設を作って形にし、そこでスタッフが活躍することにより業績はつくられる。来店客数や買い上げ客数(利用客数)の推移は、業績を上げる過程にすぎない。利益が上がっていない時点の数字だけで次の投下判断を行うと、成り行き投資を助長しやすい。投下した資源が回収できているのかという判断を現場に求める必要がある。例えば、「〇人が来店されました」から、「〇円の利益貢献をしています」という報告に変える必要があるということだ。

この判断軸を、他の指標とすり替えてはならない。また、指標の数を増やしてもいけない。さまざまな判断軸があると、広く薄く資源を投下することになり、重点がぼやけてしまう。

店舗型ビジネスにおける資源投下は、ハードの設計コンセプトをしっかりと立て、従業員に届くよう明確化し、オペレーションとの整合性を図る。そして、広告宣伝・販売促進費の投下基準を定め、利益貢献(営業利益)を測定することが重要である。

  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部
  • 本部長代理 戦略コンサルタント
  • 浅井 尊行
  • Takayuki Asai
  • ビジョン構築、経営戦略構築~展開のコンサルティングで、製造~卸売~小売・サービス業など、幅広い分野で活躍中。特に、戦略を現場へ展開するマネジメント教育を得意とし、現場主義での真摯な指導を通じ、幹部育成~社員の行動改革を実現し、クライアントから高い評価を得ている。
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