社会課題への取り組みが共感を生む
井上 禎也
2019年11月号
【図表】CO2の大気中濃度と人為的排出量
各国企業が取り組むSDGsとは
2015年に国連加盟国193カ国が全会一致で採択した、“ 誰一人取り残さない”世界の実現に向けた国際目標「SDGs(Sustainable DevelopmentGoals: 持続可能な開発目標)」。2030年を目標達成年とし、「貧困の撲滅」「飢餓撲滅、食糧安全保障」をはじめ17のゴールを掲げている。
SDGsの頭文字のS「サステナビリティー(持続可能性)」は従来、企業が収益を上げ、顧客からの信頼を得て存続し続けるという意味で使われることが多かった。しかし、現在は地球環境の問題を解決するための活動を指す言葉として、広く使われるようになってきている。
いまさら説明するまでもないことだが、例えば温暖化により海面上昇が起これば、人々の住む土地が水没する。廃棄プラスチックが海洋汚染を引き起こせば、水産物が取れなくなる。年々増え続けている人為的CO2排出量(【図表】)は自然環境悪化の要因の一つとなり、私たちの生活をおびやかす可能性が高い。SDGsはこうした課題に企業が取り組んでいくべきという考え方である。
この国際目標を達成するため、日本においてもさまざまな企業が施策を打ち出している。日本郵便は、環境に配慮した低排出ガス車両を導入したり、郵便局の照明設備をLED化したり、荷物を受け取る方法を増やすことで再配達を減らしたりして、CO2排出量の削減に取り組んでいる。
またネスレ日本は、人気チョコレート菓子「キットカット」について、2019年9月下旬から大袋の外袋を紙パッケージに切り替えた。これにより年間約380tのプラスチック削減を見込んでいるという。