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【コラム】

コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
コラム2019.09.30

「学び方改革」の進め方
影本 陽一

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2019年10月号


【図表】 一人前基準(入社~6カ月)の例
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ギャップの明確化と解消

まず、あらわになったのが上司と新入・若手社員の“ 要望のギャップ” である。上司の要望は、「配属されるまでに、なるべく多くの知識をインプットし、現場ですぐに仕事を任せられる即戦力になってほしい」こと。戦力になるまでの間は、手間のかかる仕事や基本的な作業を新入・若手社員に任せるパターンが多かった。

一方、新入・若手社員からは、「聞くに聞けない状況を何とかしてほしい」との要望があった。配属前に基本業務を教わっても、現場でのやり方が分からない。質問しようにも、先輩や上司が忙しそうで近づきにくい。勇気を出して聞いても、「一度習っただろう」「何度言わせるんだ」と返されると、もう次は聞けない。

仕方なく新入・若手社員同士で相談し、想像力を働かせながら仕事を行う。結果、間違ったやり方でミスをする。または、時間がかかり過ぎて叱られる。そんなことを繰り返すうち、いつしか前向きに物事を考えられない、「言われたことしかしない、できない」状態に陥っていた。

このギャップを解消するには、次の三つの取り組みが有効だ。

(1) 一人前にするための基準づくり

【図表】のように、いつまでに、何ができればよいのか。習得すべき「知識」「技術」「経験」を期間ごとに明確化した。

(2) 学び方の標準化

学習は、「誰から学ぶか」も重要である。そこで、誰もが話を聞きたがる、手本となる先輩や上司を講師に起用。座談会形式の講義の他、1テーマ5分以内の動画を収録し、いつでもどこでも視聴できるようにして、学び方の標準化を図った。

(3) カリキュラムの設計

動画は、見るだけだと効果が低い。知識を定着させるため、ウェブ上で個人別の理解度の履歴が残る「理解度テスト」を受けてもらう設計にする。結果は上司が管理し、適切なフォローを行う仕組みが有効である。

なお、この早期戦力化カリキュラムの運用面として期待されるのが、採用への波及効果だ。就活生(入社予備軍)に向け、入社後のキャリアプランを描く取り組みとして、合同説明会やインターンシップの場面で紹介する。成長意欲の高い学生ほど、自社に魅力を感じて応募してくれる。また、専門学校や大学などの就職課担当者から、「新入社員と向き合う姿勢が魅力的な会社」として認知されれば、学生の紹介や就職相談の機会も増える。

これからは、インターンシップから内定式、内定後フォローまでの連動が不可欠になる。この機会に「“ 学び方目線” の人づくりストーリー」を検討いただきたい。

  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部
  • 部長 戦略コンサルタント
  • 影本 陽一
  • Yoichi Kagemoto
  • 成長ビジョン・戦略構築から人事制度構築、人材育成まで幅広い実績を持つ。事業・組織のブランド化、組織活性化に向け、クライアントと一体となった熱いコンサルティング展開が持ち味。現在は、医療・介護を中心とするヘルスケアビジネス成長戦略研究会のサブリーダーとしても活躍中。
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