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【コラム】

コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
コラム2019.08.30

独自のワンストップモデルを磨き
高収益続く地場ゼネコンのモデル事例
百井 岳男

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2019年9月号


国内建設市場においては、約1年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックの開幕(開会式:2020年7月24日)に向けた再開発や「国土強靭化計画」などが進められ、その後も都市部を中心とした大型プロジェクトの存在により、短期的には建設需要が拡大している。(【図表】)

【図表】名目建設投資額の推移

※2016、17年度は見込み。18、19年度は見通し出典:建設経済研究所/経済調査会 経済調査研究所「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2019年4月24日)

※2016、17年度は見込み。18、19年度は見通し
出典:建設経済研究所/経済調査会 経済調査研究所
「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2019年4月24日)

加えて、建設資本ストックの維持更新投資の観点に立つと、建設後50年以上経過する社会資本の割合は急速に拡大することが見込まれており、長期的に見ても潜在的な建設需要は一定規模の拡大が見込まれる。

一方、建設業界では人手不足が深刻化している。ヒューマンタッチ総研の試算によると、建設技術者数は2019年の48万1477人から減少に転じ、2025年には45万4821人となる見通しだ。建設市場が現状維持で推移した場合、2025年には6万7219人が不足するという。

また、建設現場で働く技能労働者を含めると、2025年度までに109万人が退職するとの試算結果(日本建設業連合会、2015年)もある。産業間で人材争奪戦が激化すれば、労働条件面で劣る建設業はいよいよ劣勢に立たされることが予想されよう。

さらに、地方部の停滞も進んでいる。「金融システムレポート」(日本銀行、2019年4月17日)によると、約6割の地方銀行が10年後の2028年度に最終赤字になると試算された。地方都市の人口減少と地域経済の伸び悩みによる資金需要の先細りが背景にあるが、これはローカルを基盤とする地場ゼネコン(地方建設会社)の先行きを暗示している。

私は近年、タナベ経営が主催する「建設ソリューション研究会」での活動を通じ、多くの建設関連企業を視察・研究している。その中で、地場ゼネコンが生き残る上で多くの示唆を与えてくれるモデル事例と出合うことも少なくない。本稿では、その一つである「須山建設」(静岡県浜松市、須山宏造社長)を紹介したい。

同社は創業100年以上の長寿を誇る、地域密着型の建設会社。独自のワンストップソリューションシステムに磨きをかけ、地場の建設企業の中でも群を抜く高収益を上げている。

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