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コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
2019.05.31

一番の熱狂顧客は“自分自身”というアプローチ
巻野 隆宏

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2019年6月号


 

 
課題発見への注力が事業創造の第一歩
 
民泊仲介サービスの世界最大手「Airbnb」は、創業者の2人が家賃を払えず、自宅アパートのロフトを貸し出したのがきっかけだった。世界最大のライドシェアサービス「Uber」も、創業者の2人がサンフランシスコでいくら手を挙げてもタクシーが止まらないという実体験に基づいている。
 
新規事業の創造において、「顧客は誰か?」は非常に重要な問い掛けである。この問いに漠然としか答えられなければ、アプローチが間違っていると言わざるを得ない。
 
マーケティングでは、「ペルソナ」がよく用いられる。これは、自社の製品・サービスを購入する架空の顧客モデルである。あたかも実在しているかのように、詳細に人物像を設定する。具体的な顧客イメージを練り上げることで全員が顧客をよく理解し、共有することができる。
 
ここで、もう一歩踏み込んで考えてほしい。仮想の人物ではなく、実在する人物を顧客像として設定すると、どうなるだろうか。
 
漠然と多くの顧客を対象にするより、実在する特定顧客の困り事は何か、その課題は何かと具体的に考えた方が、真摯に向き合うことができる。また、仮想の顧客課題から出発したソリューション開発は当たり外れが大きい。実在顧客の本質的な課題の発見に注力し、その仮説を顧客にぶつける行動を繰り返すことが重要だ。この段階でのプロダクトは、あくまで課題発見のためのプロトタイプ(試作品)づくりでなければならない。
 
市場調査や数値データからのアプローチでは出てこない課題、つまり多くの人が気付いていない(意識していない)ニッチな課題を見つけるのだ。まずは課題発見に注力することが第一歩であり、それが結果的に課題解決への近道となる。
 
では、実在顧客は誰に設定すべきか。さらにもう一歩踏み込んで考えてほしい。自分自身(自社)を顧客に設定するのである。なぜならAirbnbやUberのように、自らの具体的な困り事の解決から、新規ビジネスが生まれるきっかけになった場合もあるのだ。
 
 
 

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