TCG REVIEW logo

100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。

コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
2018.11.30

活躍できる場の提供は、「未来の会社」づくり
岩谷 充史

consultant_reviewbanner
2018年12月号


 

生産年齢人口の減少や新卒者・転職者の大企業志向の高まりなどにより、中小企業の人手不足が深刻化している。中小企業基盤整備機構が実施している「中小企業景況調査」から従業員数過不足DIの推移を見ると、全ての業種で2009年をピークにマイナスへ転じている。特に建設業やサービス業での人手不足感が顕著である。(【図表1】)

 

新卒採用の難しさもさることながら、「多様化する顧客ニーズへの対応」や「新規事業展開」に必要な中核人材(【図表2】)の不足が、中小企業の成長制約要因ともなっている。そこで本稿では、10年後の売り上げ倍増計画を掲げたA社における、中核人材の育成事例について紹介したい。

※従業員数が「過剰」と答えた企業割合から、「不足」と答えた企業割合を引いたもの
 
 
【図表1】業種別従業員数過不足DIの推移

201812_review2_01

出典:中小企業庁「中小企業白書(2018年版)」
資料:中小企業庁・中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」


 
 
【図表2】人材の定義
201812_review2_02

出典:中小企業庁「中小企業白書(2018年版)」


 
 
「ハイブリッド型」チームの発足
 
A社の社長(就任2年目)は、前社長の強烈なカリスマ性で築き上げられた「社長絶対主義」「社員が考えられない組織」からの脱却が課題であった。前社長のトップダウンの弊害で、管理職層は前向きな発想ができず、それに伴って部下も実行力を欠くケースが多々あった。
 
社長は、「部門単位ではなく、一人一人がこれまでの既成概念を取り払い、旧体質から脱却して自立型組織に進化できなければ、10年ビジョンの実現はあり得ない。若手・中堅社員が会社の未来を考える機会をつくりたい」という熱い思いから、「全員活躍ハイブリッド型組織の実現」を掲げ、部門・役職・年齢も関係のない6つのプロジェクトチームを発足した。
 
プロジェクトチームの活動テーマは、事業拡大や生産性向上、管理会計、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント:顧客関係管理)などさまざま。課長クラスの管理職メンバーはオブザーバー程度の関与にとどめ、プロジェクト推進の中心メンバーは30代半ばまでのメンバー構成とした。
 
プロジェクトリーダーは若手・中堅メンバーが担い、社長への意見具申も行う。A社の場合、若手・中堅メンバーにはトップダウン型組織の風土が染み付いていなかったため、ベテラン社員から出てこないような新しい発想を多く生み出した。また、このプロジェクト活動が定期的な他部門メンバーとのディスカッションの場となり、組織上、役職を持たないメンバーも全社最適で物事を考えるよいトレーニングにもなっている。
 
そして、プロジェクトの参画メンバーは「自分たちが考えたことを実行・推進できる」とイキイキとし、目に見える形で組織が活性化してきたのだ。特に私が驚いたのは、プロジェクト活動の中で最も目を見張る活躍を見せていたメンバーが、なんと入社2年目の社員だったことである。
 
 

1 2 3
コンサルタント レビュー一覧へ

関連記事Related article

TCG REVIEW logo