ビジョン実現のための「成長戦略M&A」
小野 樹
2018年12月号
増加する中小企業のM&A
日本企業によるM&A(合併・買収)が活発化している。「中小企業白書(2018年版)」によると、2017年のM&A件数が3000件(レコフデータ調べ)を上回り過去最高となったほか、中小企業の成約件数も2012年に比べて3倍超という。経営者の高齢化や後継者不在による事業承継問題に対し、国のさまざまな支援策が打ち出されていることがその背景にある。
中小企業によるM&Aが増えている中、実際のところその成功率はどの程度なのか。東京工業大学大学院の井上光太郎教授が行った実証研究(2013年)では、上場企業での成功率はほぼ5割だそうだ※。そこから類推すると、中小企業の場合は3~4割といったところだろう。
いずれにせよ、M&Aは半数以上が失敗に終わっていることになる。慎重に事を進めたはずのM&Aが、なぜ失敗するのか。結論から言うと、買収側において、自社のビジョンとM&Aの目的が不明確だったことが考えられる。
現在、好業績の中堅・中小企業のもとには、地域金融機関やM&A仲介会社から企業譲渡の案件がよく持ち込まれる。だが、自社の中長期ビジョンと買収目的が不明確なまま、候補リストから興味のある先を選ぶだけという成約自体が目的化したケースも多い。
タナベ経営では、そうした失敗事例と同じ轍てつを踏まないよう、企業買収を企図する中堅・中小企業に「成長戦略M&A」を推奨している。
※レコフデータ『MARR』2014年5月号235号