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コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
2018.08.31

改善活動の「本当」の意味
市川 淳

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2018年9月号


 
現場の声に耳を傾ける
 
 
こうした現場改善活動において壁となるのは、「変わることは面倒」と考えている従業員の意識である。今のままでも、取り立てて大きな問題が起きるわけではない。現状維持が心地良い。そんな惰性が必ず表れるものだ。
 
しかし、「このままでよい」と考えている従業員ばかりではないことも事実である。「このままでよいはずがない。何かがおかしい、変わらなければいけない」。そう感じている従業員は多い。これは私の経験上からもそう言える。何かを変えたいが、変える方法が分からず、日々の業務に忙殺されているだけなのである。
 
私は以前、ある会社で現場の声を聞くため、オペレーターの社員と面談を行った。彼女は、「毎日、終業時間間際にお客さまから問い合わせが来るので、残業して対応しています。終業後の予定なんて、入れられないです。友達とも会えない。なんでうちの部署だけって思っちゃいます……」と言う。
 
この社員を始め、同社の従業員たちは責任感を持って業務に当たっている。しかし、それゆえに無理をしてしまい、誤解を恐れずに言うと「自分の生活を犠牲にしてまで」業務に従事していた。
 
そこで、なんとしても業務内容の見直しを行い、現場を変えようと経営者は決意した。作業時間の見通しを「見える化」し、残業時間が削減できるよう、経営陣・現場が一体となって改善活動を進めている。
 
 
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経営陣と社員をつなぐ改善活動
 
 
これはあくまでも一例にすぎないが、どんな現場にも課題は山積みである。企業経営者や管理者は現場を見つめ直し、課題を見つけ、真の改善活動に取り組んでいかねばならない。
 
私が5S活動で重視している点は、社長を含め経営陣と一緒に現場を回る、ということである。いわゆる「MBWA」(マネジメント・バイ・ウオーキング・アラウンド=歩き回る経営)と呼ばれるものだ。
 
普段は社外にいることが多い経営陣にとっては、社内をウロウロと歩き回るだけで、現場の改善活動の過程や変化を肌で感じ取れ、従業員のことも知る機会となる。さらに、従業員にとっては現場で改善活動に励む自分の姿を経営陣にアピールできる機会となる。それが何よりの動機付けとなるのだ。
 
現場の改善活動が、会社のトップと現場をつなぐ。そこから経営陣が新たな気付きを得る可能性は大いにある。トップや経営幹部の目線と、実際に現場で作業を行う従業員の目線は当然、異なる。経営陣は現場と同じ目線で、従業員が抱える課題を共有してほしい。会社は、経営陣だけでは成り立たない。従業員全員で運営していくものなのである。
 
 
 
 

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  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部
    コンサルタント
  • 市川 淳
  • Jun Ichikawa
  • 製造メーカーの製造部門にて品質・原価・納期の管理などを幅広く行い、製造全体のマネジメントを経験。その後、営業部門での活躍、海外工場設立などで経営全般のスキルを磨き、タナベ経営入社。日本におけるメーカーの力となり、「ものづくり」から日本を明るく元気にしたいという信条の下、日々コンサルティング活動を展開中。

 
 

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