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コンサルタント レビュー

タナベコンサルティンググループの経営コンサルタントが、各専門分野の経営テーマに沿った戦略や施策を提言します。
2018.05.31

建設業における人材育成改革
堀部 諒太

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2018年6月号


 
建設現場でのOJT改革
 
B社は半世紀以上続く専門工事業。業界では名の通った企業である。しかし、リーマン・ショック以降、新卒採用を実施できる状況になかったため、20代と30代が極端に少ない社員構成になっていた。そこで約10年ぶりに新卒採用に踏み切り、なんとか数名の採用に成功したのだが、入社後に問題が発生した。
 
新卒を扱ったことがない現場管理者が多く、会社としての教育ルールも存在しないため、現場での育成が属人的に行われてしまい、質にバラつきが生じたのである。このままでは苦労して採用した社員が退職してしまうばかりか、今後も継続しようと考えていた新卒採用ができなくなってしまうと考えたB社社長は、タナベ経営と共に企業内大学(アカデミー)の開設に着手した。
 
アカデミー開設の中で、階層別の教育制度や集合研修、社内表彰制度などを取り入れたが、特筆すべきは現場OJT改革だ。建設現場の場合、配属先の現場により工事種別や規模、工程などさまざまな違いがある。従来の現場OJTではある程度の特性や能力を勘案していたものの、現場状況を最優先して配属を決定していたため、数年が経過して初めて成長を実感できるというものであった。
 
しかしOJT改革では、計画的にスキルを身に付けて経験を積ませるために、現場で必要な能力をスキルマップ化し、本人の未習得スキルをもとに配属現場を選定するというルールへ変更した。これによる変化は大きく次の2点である。
 
1点目は、習得スキルの「見える化」だ。会社と本人がどのスキルを身に付けたかがマップで分かるようになり、今後の成長のためのステップを共有できることである。
 
2点目は、コミュニケーションの強化だ。本人のスキルの現状把握と、習得進捗の確認、次の現場管理者への引き継ぎ実施を各現場管理者に求めた。これを行うためにはコミュニケーションが必要になるため、現場へ丸投げせずに工事部全体で新卒を育て上げる仕組みが出来上がった。
 
この現場OJT改革は始まったばかりだが、今後の展開としてアプリ化なども検討している。現場で社員が活躍できるための仕組みとして進化を続けるだろう。
 
 
 
 

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