生産現場での「生産性カイカク」
小谷 俊徳
2018年2月号
先端技術を現場で活用するには
タナベ経営が提唱する2018年度の経営戦略テーマは「生産性カイカク」である。改革をカタカナ表記にしているのは、コストダウンや作業手順の見直しなど、従来から存在する「カイゼン」ベースの“改革”を超える意味を含んでいる。
折しも政府は2017年12月8日に、生産性革命と人づくり革命の新たな経済政策パッケージを公表した。2018~2020年までの3年間を「生産性革命・集中投資期間」として、大胆な税制、予算、規制改革を総動員するというのが趣旨である。
具体的には、
・労働生産性を年2%以上の向上
・設備投資額を2016年度比で10%増加
・3%以上の賃上げ
――という3つの成果目標を掲げており、そのポイントの1つとしてIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、AI(人工知能)、ロボットなど最先端技術の開発・実装が挙げられている。
タナベ経営では、多くの優良企業を視察し、講演を聴くという現場型の勉強会「ものづくり研究会」を開催している。その活動を通じ、私はIoTをはじめとした先端技術の活用が、製造業で急速に広がってきたことを肌で感じている。
生産性を、現在の延長線上での改善ではなく、飛躍的に進歩させる「カイカク」へつなげるためには、やはりIoTやAIなど先端技術の活用が必須である。ただ、やみくもに導入しても効果は上がらない。では、どのようにして生産現場で生産性革命を実現するのか。私は次の3つのステップを推進する必要があると考えている。
Step1:現状認識
人脈、時間、空間系列による分析で、現状の生産体制を正確に把握する。
Step2:ネック工程対策
現状認識から見えてきたネック工程に対し、適切な対応策を検討する。
Step3:具体的実行策の策定
ネック工程に対する対策を3~5年の中期と初年度の月次実行計画に落とし込む。
次に、それぞれの具体的な進め方を説明していく。