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コンサルタント レビュー

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2017.12.26

「第4次産業革命」の波を捉えたビジネスモデル革新
百井 岳男

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2018年1月号


 
日本をはじめ先進各国では、新たな需要創出の欠如と長期的な生産性の伸び悩みによる「長期経済停滞」が共通課題となっている。特に、世界に先駆けて人口減少・超高齢社会に突入した日本は、需給両面で構造的な成長制約に直面している。
 
この制約を打破する最大の鍵は、「第4次産業革命」と呼ばれるIoT、ビッグデータ、AI(人工知能)、ロボットなどによる技術革新である。この波を的確に捉えて世界共通の社会的・構造的課題の解決を図り、成長へとつなげることが日本企業に求められている。
 
 
技術革新がもたらす破壊的衝撃
 
10年前まで、人の手で情報を入力しないと機械は動かなかった。今は機械が情報を収集、分析、発信して稼働するようになった。「モノによるモノのための、モノの情報システム(=IoT)」の出現である。また、AIがディープラーニング(深層学習)技術によって、「カンブリア大爆発」※さながらの進化を遂げている。

 
今後、技術革新はかつてないスピードで拡散する。これに伴い、従来になかったさまざまなプラスマイナスの影響が出てくるだろう。例えば、AIによる自動運転技術の普及は事故件数と死傷者数の減少、医療費負担の低下をもたらすが、雇用の消滅(運転手)や自動車保険事業の存続危機も訪れる。やがて「人が運転すると違法」になる時代が来るかもしれない。

 
ビジネスへの応用速度が加速化し、事業・製品のライフサイクルは短くなり、企業は素早い意思決定と資源投入を強いられよう。次に、今後予測される技術革新とその影響を記載する。
 
(1)「中抜き」の加速

 
製品やサービスへのアクセス、発見、流通のプロセスが著しく削減され、製品やサービスが最終消費者まで届く流れは一層短くなる。効率的な流通システムの出現と参入障壁の低下により、個人、起業家、既存企業の市場参入や新規ビジネスモデルの実験を加速化させていく。
 
(2)サブスクリプション(定期購読)型ビジネスモデルへの転換
 
メンテナンスや消耗品の供給、定額会員制など、長期的に収益を得るビジネスモデルの構築が進む。日本はハードウエアやものづくり力をてこに、現場データを持つ強みを最大限に生かし、顧客へ迅速にソリューションを提供することが差別化のポイントとなる。
 
(3)既存主要産業の衰退リスク増大
 
自動車産業を大きく変える4要素「CケースASE」(Connected:つながる車、Autonomous:自動運転、Shared&Service:カーシェアリング、Electric Drive:電動化)の進展は、技術上の参入障壁(複雑な内燃機関など)に守られてきた競争条件を根底から覆す恐れがある。またフィンテックは、既存の金融システムを侵食することも懸念される。
 
(4)価値の源泉となるデータ
 
GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)など大規模プラットフォームのバーチャルデータの利活用に加え、個人の生活情報や製品・設備の稼働状況などの「リアルデータ」を巡る競争にシフトする。これまで想像もしなかったサービスが誕生する一方、プライバシーやセキュリティーのリスクが懸念される。
 
(5)シェアリングがもたらす社会変革
 
ライドシェアや民泊など、シェアリング(共用)とマッチング(引き合わせ)の機能を活用したビジネスモデルが誕生している。例えば、ネット通販では商品の小口配送が人手不足でボトルネックになっている。そこで、その地域に住む主婦や学生が空いた時間に配送を請け負う「物流シェアリング」が動きつつある。

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